Appendix
〜予備知識〜
(2001/02/19)

目次


約数の個数・約数の和

整数 X の素因数分解が

Xpaqbr c・‥‥‥

であるとき、X の約数の個数は

(a + 1)(b + 1)(c + 1)‥‥‥

X の約数の総和は

(1 + pp2 + … + pa)・(1 + qq2 + … + qb)・(1 + rr 2 + … + r c)・‥‥‥

である。

【理由】 簡単のため、Xpaqb とする。X の全ての約数は piq j の形に表され、i は 0, 1, …, a の (a + 1) 通り、j は 0, 1, …, b の (b + 1) 通りの値をとれるので約数の個数は (a + 1)(b + 1) となる。

約数の総和が (1 + pp2 + … + pa)(1 + qq2 + … + qb) となることは、この式を展開した結果からわかる。


三角形の面積

三角形の 3 辺の長さを a, b, c とする。また外接円の半径を R, 内接円の半径を r とし、2sabc とする。 このとき、面積 S は次の式で表される。

S abc
――
4R
rs

________
s(sa)(sb)(sc)
 

一番最後の式を「ヘロンの公式」という。

【理由】 もちろん初等幾何でも証明できるが、ここでは(これらの公式よりなじみの深いと思われる)三角比の知識から導くことにする。

c の対角を C とすると、Sab sinC/2 で、正弦定理より sinCc/2R だから Sabc/4R

図右図で S = △IBC + △ICA + △IAB = ar/2 + br/2 + cr/2 = rs

最後に余弦定理を用いて

S 2
1

4
a2b2sin2C 1

4
a2b2(1 − cos2C)
1

4
a2b2 ( 1 − ( a2b2c2
――――――
2ab
) 2
 
)
1

16
(4a2b2 − (a2b2c2)2)
1

16
(2aba2b2c2)(2aba2b2c2)
1

16
((ab)2c2)(c2 − (ab)2)
1

16
(abc)(abc)(cab)(cab)
1

16
2s(2s − 2a)(2s − 2b)(2s − 2c)
s(sa)(sb)(sc)

としてヘロンの公式が導かれる。


虫食い算・覆面算

  □□           IT
× 7□    ABC  × IS
――――  + ABC  ――――
 □□□  ―――――   2□□
 □□    CCDD  □□□ 
――――         ――――
 □□□         EASY

左が虫食い算、真中が覆面算、そして右は 2 つが混合した形の問題。ルールは周知だと思うが、細則に注意。

なお特に指示がない限り、□ 以外の記号は文字とみなす。(例えば 2000 年 Q3 の "/")

虫食い算や覆面算の解説中で、[1xy4] のような表記を用いた。この中の xy は(通常)1 桁の数字を表していて、全体で、[ ] の中の数字を純に並べてできる数字列が 10 進数として表す数を意味する。ふつうの数式で書けば、 [1xy4] = 1000 + 100x + 10y + 4 である。


等式を作る問題の注意

与えられた数字に記号を追加して等式を作る問題(例えば 2000 年 Q1, 1997 年 Q6, 1996 年 Q2)についての注意。

ところで、この類のパズルで、「..4 = 0.04」という表記が 用いられているのを見かけるが、これは数学(および理工学)で実際に 使われる表記なのだろうか。 それとも「階和記号(Σ)」と同様にパズル用に生み出された ものなのだろうか。 とにかく私はこの表記も用いないことにしている。


3 倍角の公式

cos 3θ を cos θ で表した式である。この結果自体を記憶する価値はあまりないが、cos θ の多項式で表せるという事実は記憶にとどめておくとよいであろう。

【定理】 cos 3θ = 4cos3θ − 3cos θ

【証明】 加法定理と倍角公式を用いる。

cos 3θ cos (2θθ)
cos 2θ cos θ = sin 2θ sin θ
(2cos2θ − 1)cos θ − 2sin2θ cos θ
2cos3θ − cos θ − 2(1 − cos2θ)cos θ
4cos3θ − 3cos θ

(証明終)

sin の 3 倍角の公式もある: sin 3θ = 3sin θ − 4sin3θ証明は cos の式と同様にできる。


ピタゴラス数の性質

直角三角形の 3 辺をなす整数組、すなわち a2b2c2 をみたす整数組 (a, b, c) のことをピタゴラス数という。 これについて次が成立する。

【定理】 (a, b, c) を 1 以外の公約数をもたないピタゴラス数とする。a, b は一方が奇数で他方が偶数である。a が奇数、b が偶数とすると、整数 m, n (mn) を用いて

am2n2,  b = 2mn,  cm2n2

と表され、その時 m, n は互いに素で一方が奇数で他方が偶数となる。

(注意) a, b, c の中の 2 つが公約数をもてば、それは残りの 1 つの約数にもなる。従って、「3 数が 1 以外の公約数をもたないこと」は「どの 2 つも互いに素」と同値。 なお、mn がともに奇数の場合は、a, b, c は(ピタゴラス数ではあるが)全て偶数になる。

【証明】 一般に、偶数の 2 乗は 4 で割り切れ、奇数の 2 乗は 4 で割ると 1 余る。これは、(2k)2 = 4k2 ≡ 0  (mod 4), (2k + 1)2 = 4(k2k) + 1 ≡ 1  (mod 4) から示される。仮に、ab がともに奇数とすると、c は偶数だが、すると 1 + 1 ≡ 0 (mod 4) となって矛盾。またともに偶数でもない(互いに素だから)ので、a, b の一方が奇数、一方が偶数である。一般性を失うことなく、a が奇数、b が偶数とする。

a2b2c2 より、a2 = (cb)(cb) が成り立つ。ここで、bc が互いに素より cbcb (ともに奇数)も互いに素である。(もし 1 以外の公約数をもてば、それは bc の公約数にもなる。)かつこれらの積が平方数だから、どちらも平方数でなければならない。そこで、cbu2, cbv2 とおく。u, v はともに奇数だから、m = (uv)/2, n = (uv)/2 とおくと、m, n は整数で、しかも umn, vm - n が互いに素でともに奇数であることより m, n も互いに素でその偶奇は異なる。そして、

a uv = (mn)(mn) = m2n2
b (u2v2)/2 = (uv)(uv)/2 = 2mn
c (u2v2)/2 = ((mn)2 + (mn)2)/2 = m2n2

と表されることより必要性が証明された。十分性を証明するには、実際に a2b2c2 が成り立つことと、1 以外の公約数をもたないことを確かめればよい。
(証明終)


合同式

abm で割りきれる、すなわち abm で割った余りが等しいことを

ab  (mod m)

と書く。例えば 12345 ≡ 54321 (mod 9), 11 ≡ −13 (mod 8) である。

何やら難しそうに見えるけど、それだけのことである。

abcd  (mod m) のとき、acbdacbdacbd  (mod m) が成立する。 これを用いると、10 ≡ 1  (mod 9) より

12345 ≡ 1・104 + 2・103 + 3・102 + 4・10 + 5
≡ 1・14 + 2・13 + 3・12 + 4・1 + 5
≡ 1 + 2 + 3 + 4 + 5 ≡ 15 ≡ 6   (mod 9)

という計算ができる。


フェルマーの小定理

フェルマーの小定理をパズルに用いるのは少し反則であるが、ネタに困ったときにその反則をやってしまっているので、解説しておく。

【定理】 p を素数とする。ap の倍数でない時、 ap-1 ≡ 1  (mod p)。

【証明】 まず「全ての自然数 a について apa  (mod p)」…(*)を数学的帰納法で証明する。

以上より、(*)が成立する。

(*)より apaa(ap-1 − 1) が p の倍数。ap の倍数でない場合、ap-1 − 1 が p の倍数でなければならない。 よって、定理が成立する。
(証明終り)

この「小定理」というのはもちろんあの「大定理」との対比でつけられた名前だが、決して小っぽけな定理ではなく、整数論において大変重要な定理であるとされている。

さて「大定理」の方は 1994 年に現代数学の理論を駆使して証明された。せっかく証明されたのだから「大定理」を使ったパズルを作ってみたいのだが、なかなか上手くいかない。 (^_^;)


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This page is written by Yac(T.Yato: yato@ is.s.u-tokyo.ac.jp ).