2 0 0 3  
(平成 15 年)
問題》 [1] - [2] - [3] - [4] - [5] - [6] - [戻る] - [トップ]

A1.

一般に n 次元の場合を考える。

math

とおく。すると

math     (左辺は内積)

より

math

である。ここで、A, B, C が格子点なので、a1, . . ., an, c1, . . ., cn は整数である。従って、

math

は全て整数、従って cos2∠ABC は有理数となる。

従って、∠ABC = 15°なる格子点 A, B, C があったとすると、cos215°が有理数でなければならないが、

math

(半角公式)からこれは明らかに無理数である。従って、∠ABC = 15°となる格子点 A, B, C は(任意の n 次元空間で)存在しない。


簡単でしたね。 でも、この問題を見た時、「空間内だったら存在するのじゃないか?」と思った人がいるんじゃないでしょうか。

3 次元空間内の次の格子点を考えます。

P(2, 0, 0), Q(0, 2, 0), R(0, 0, 2), M(0, 1, 1) 

すると、△PQR は正三角形なので ∠QPR = 60°となることはよく知られています。そして M は QR の中点なので ∠QPM = 30°です。だったら、その半分の 15°もできそう……に思えるというのが落とし穴でした。


平面の場合には、次のようにして、ある角度が格子点を用いて表されるための必要十分条件を求めることができます。

a = (a, b), c = (c, d), とすると、

math

より、|tan∠ABC| = |(adbc)/(acbd)| が成立します。 つまり、A, B, C が格子点なら、tan∠ABC が有理数(または ∠ABC = 90°⇔ ac = 0)となります。逆に tanθ が有理数 p/q (ただし p>0)に等しいのならば、

A(1, 0), B(0, 0), C(q, p)

とすると ∠ABC = θ となります。

以上をまとめると次のようになります。

[定理] 0°≦ θ ≦ 180°なる角度 θ について、∠ABC = θ となる格子点 A, B, C が存在するための必要十分条件は、
tanθ が有理数 または θ = 90°
である。

先の話に出てきた 30°, 60°については、

tan30°= 1/3,  tan60°= 3

となるので、平面にはこれらの角度をなす格子点は存在しません。


[戻る] / [トップ]
This page is written by Yac(T.Yato: yato@ is.s.u-tokyo.ac.jp ).